歌唱集   目次
 日就寮寮歌(暁清く風薫る)              日就寮凱歌(夕陽西にうすづきて)
 日就寮逍遥歌(心の園に萌え出し)           東北大学学生歌(青葉燃ゆるこのみちのく)
 東北大学学生歌(緑萌えたつ高き山脈)	        東北大学学生歌(陸奥の青葉の都)
 東北大学学生歌(若さはからだに)	        第二高等学校校歌(天は東北山高く)
 第二高等学校応援歌(肥馬鞭打たせゆるがにも)     明善寮寮歌(山紫に水清き)
 明善寮記念祭典歌(散にし花はまぼろしか)       一高記念祭典歌(嗚呼玉杯に花うけて)
 三高逍遥歌(紅萌ゆる岡の花)             琵琶湖就航の歌(我は湖の子さすらいの)
 北帰行(窓は夜露に濡れて)              北上川(匂い優しい白百合の)
 人を恋うる歌(妻をめとらば才たけて)         高楼(遠き別れに絶えかねて)
 古い顔(子供の頃に遊んでた)             若さはからだに(若さはからだに力は腕に)
 遥かな友に(静かな夜更けに)             女の園(古き都に咲きし花の命は)
 仙台小唄(杜の都の花乙女)              カチューシャ(りんごの花ほころび)
 ともしび(夜霧の彼方へ別れを告げ)          僕は二高の一年生(僕は二高の一年生)
 一年生一年生(一年生一年生 良くぞ入った東北大)   向う通る女学生(向う通る女学生 三人並んだその中で)
 クズランコ物語(サー イラハイ イラハイ)	     八百屋お七(所は駒込吉祥寺)



  日就寮寮歌
〜楽譜(pdf形式)〜、 〜音源(mp3形式)〜
一 暁清く風薫る    青葉愛宕の山向い    夜は枕に音通う    広瀬の流れ耳にする    日就寮の我が宿り 二 新の時勢新の気    吸いつつ業を励み行く    健児の魂と散るなかれ    明日世に出ずる身の備え    自治と協同我が標語 三 一団ここに光明の    望み仰ぎて手をとりて    幾春秋を睦びます    後の思い出如何ならん    日就寮に栄えあれ哉

 日就寮凱歌 
〜楽譜(pdf形式)〜、 〜音源(mp3形式)〜
    夕陽西にうすづきて     白亜の家も沈黙の     闇の中に消ゆるとき     見よ東の空の涯て     清く輝く明星の     吾らが栄えある歓楽の    宴に幸ぞ祈るかな    宴に幸ぞ祈るかな

 日就寮逍遥歌
〜楽譜(pdf形式)〜、 〜音源(mp3形式)〜
一 心の園に萌え出し    清き焔と燃えたてる    生命は若き一団に    北斗きらめく萩の里 二 虫の音すだく宮城野に    銀月ぬれて星さとす    今若き身は真なる    学びの舎(にわ)に分けいらん 三 望が丘に登り来て    広瀬川と語らえば    往ぬるに早き夢に似て    我が春の日をさとすかな 四 山上すでに秋たけて    松風あとを尋ぬれば    古城に茂るつたかずら    心よ憩えその上に

東北大学学生歌(二八年)       作詞 野田    秀       作曲 阿座上 竹四     (青葉燃ゆる) 一 青葉燃ゆるこのみちのく    今ここにはらからわれら    力もて歌う平和の賛歌    われらこそわれらこそ                国のいしずえ    理想ある生命は常に美し    さらば生きん 友よ生きん    ああ東北大 ああ東北大 二 萩のかおるこの宮城野    今ここに集いしわれら    愛もて求むる真理の目標(しるべ)    われらこそわれらこそ                学都の誇り    歴史ある伝統は常に若し    さらば伸びん さらば伸びん    ああ東北大 ああ東北大 三 朝鳥啼く広瀬の川    今ここに安らうわれら    心もて語る自由の行手    われらこそわれらこそ                世界の要    未来ある若者は常に強し    さらば行かん 友よ行かん    ああ東北大 ああ東北大

東北大学学生歌(二八年) (緑萌えたつ高き山脈) 一 緑萌えたつ高きやまなみ    湛えて清き一すじの川    ここは東北我らが故郷    平和の光かかぐる所    いざ歌え いざ歌え    我らの青春 我らの生命 二 さわやかに吹く朝風の中    学園立てり我らの泉    ここは東北我らが故郷    わがいそしみの絶えざる所    いざ歌え いざ歌え    我らの青春 我らの生命    いざ歌え いざ歌え    我らの青春 我らの生命

東北大学学生歌(二八年) (陸奥の青葉の都) 一 みちのくの青葉の都    七千の我ら我ら          我らは集う    限りなく求むる真理(まこと)    友情の腕(かいな)を組んで    ためらわず進まん歩み    我らがはるけき望み    たくまし若人の道 二 宮城野のもえる緑は    七千の我ら我ら          我らは歌う    限りなく愛する平和    輝ける瞳をあげて    いざ深く見つめん生命    広瀬の清き流れは    我らのひとつの心    うつくし若人の歌

 東北大学学生歌(三十年) (若さはからだに) 一 若さはからだに         力は腕に    この澄みきった    みちのくの空の下    忘れていたふるさとを    よみがえらせよ         その清純を 二 光は頭上に    希望はひとみに    このやすらかな    学園の風の中    平和へのあこがれ    鳴りひびかせよ         あの賛歌を 三 真理ははるかに    誓いは心に    このあたたかい    友情の杜の上    永遠のともしびを    抱きつづけよ進まん歩み         あの誇りを

  第二高等学校校歌 一 天は東北山高く    水清き郷七州の    光教えの因るところ    庭のあしたの玲瓏の    露に塵なし踏みわくる    われ人生の朝ぼらけ 二 花より花に蜜を吸う    蜂のいそしみわが励み    不断のの渇きとめがたき    知識の泉掬みとらん    湧きたつ血汐青春の    力山をも抜くべきを 三 思い千里の青雲の    高き理想を身の生命    時の大海岸の砂    絶えぬすすみの跡残せ    夕日の西に沈むとき    今日は空との憾(うら)みなく 四 孤燈の元に襟ただす    夜半の窓の影ひとつ    天地寂たるただ中に    泣きても慕う世々のあと    倣はざらめや千歳の    光ほまれの不朽の名 五 彼と等しく享けし種    咲きて吾が世の花たらば    薔薇(しょうび)と匂え蘭麝の香    土またさらば香わしう    第二高等学校の    名に伴わん常久の栄(はえ)

  第二高等学校応援歌 一 肥馬鞭打たせゆるがにも    敵の牙城に寄るは誰    秋水一度ひらめけば    君は無人の境行く    戦い勝てり美酒を    汲みて讃えん君が御名    光涼しく月照れば    喜びに満つ五城楼 二 ああ我勝てり我勝てり    夕日うすずくひしが崎    誉れの大旗打ち振りて    讃えん今日の大勝を    戦い勝てり美酒を    汲みて讃えん君が御名    光涼しく月照れば    喜びに満つ五城楼

明善寮寮歌(明治四十年) 一 山紫に水清き    郷は名に負う五城楼    向上の主義自治の制    高き理想を胸にして    健児一つに睦み合う    明善の寮我が住み家 二 流れてやまぬ広瀬川    朝な夕なの我が教    ほととぎす鳴く青葉山    緑はかへぬ我が操    宮城の萩の露に照る    月を鏡の我が心 三 向う愛宕の丘の上    遠くながむる海原の    廣き深きに学ばずや    玲瓏高き大空の    果てなきはてに行く雲を    望みの翼(はね)と観ぜずや 四 孤燈の下のはげみには    すぐれし世々の跡したひ    ゐろりの緑の団欒(まどい)には    うれしき友のなさけ汲む    愛と望みと光との    宿明善の寮さきく

  明善寮記念祭典歌 一 散にし花はまぼろしか    我が若き日の夢なるか    友よ憂いの根を秘めつ    過ぎ行く春を惜しまなん  二 永遠のいのちを慕いつつ    朝霧こむる陸奥の    清き流れを訪い来れば    光たゆとう夏の空 三 ああむせびなく小夜嵐    野末の露に乱る穂に    有情の遊子さすらいの    心し思う秋の暮れ 四 時じく降れる雪の夜に    我が魂は神のなす    沈黙の中にさまよいて    求めし声よ今いずこ 五 苦し悲しく寂しかり    三年なりしが移ろいて    時の丘辺佇めば    我が思い出は美しき 六 望み憧れ抱きつつ    この天地に涙つつ    ああ逍遥に過ぎ行くは    我が青春の姿なれ

  一高記念祭典歌 一 嗚呼玉杯に花うけて    緑酒に月の影やどし    治安の夢に耽りたる    栄華の巷低くみて    向ヶ丘にそそり立つ    五陵の健児意気高し 二 芙蓉の雪の精をとり    芳野の花の華を奪い    清き心のますらおが    剣と筆をとりもちて    一度起たば何事か    人生の偉業成らざらん 三 濁れる海に漂える    我が国民を救わんと    逆巻く浪をかきわけて    自治の大船勇ましく    尚武の風を帆にはらみ    船出せしより十二年 四 花咲き花はうつろいて    露おき露のひるごとく    星霜移り人は去り    梶とる船師は変るとも    我が乗る船はとこしえに    理想の自治に進むなり 五 行途を阻むものあらば    切りて捨つるに何かある    破邪の剣を抜き持ちて    舳に立ちて我呼べば    魑魅魍魎も影ひそめ    金波銀波の波静か

  三高逍遥歌 一 紅萌ゆる岡の花    早緑匂う岸の色    都の花に嘯けば    月こそかかれ吉田山 二 緑の夏の芝露に    残れる星を仰ぐとき    希望は高く溢れつつ    我らが胸に湧きかえる 三 千載秋の水清く    銀漢空にさゆる時    通える夢は崑崙の    高嶺の彼方ゴビの原 四 ラインの城やアルペンの    谷間の氷雨なだれ雪    夕べは辿る北溟の    日の影暗き冬の波 五 嗚呼故郷よ野の花よ    ここにも萌ゆる六百の    光も胸も春の戸に    嘯き見ずや古都の月 六 それ京洛の岸に散る    三年の秋の初紅葉    それ京洛の山に咲く    三年の春の花嵐 七 左手の文にうなずきて    夕べの風に吟ずれば    砕けて飛べる白雲の    空には高し如意ヶ嶽 八 神楽ヶ岡の初時雨    老樹の梢伝う時    穂燈かかげ口誦む    先哲至理の教にも 九 嗚呼また遠き二千年    血潮の史や西の子の    栄枯の跡を思うにも    胸こそ踊れ若き身に 十 希望は照れり東海の    み富士の裾の山桜    歴史を誇る二千載    神武の子らが立てる今 十一 見よ洛陽の花霞    桜の下の男の子等が    今逍遥に月白く    静に照れり吉田山

  琵琶湖就航の歌 一 我は湖の子さすらいの    旅にしあればしみじみと    昇る狭霧やさざなみの    滋賀の都よいざさらば 二 松は緑に砂白き    雄松が里の乙女子は    赤い椿の森陰に    はかなき恋を泣くとかや 三 浪のまにまに漂えば    紅い泊り火なつかしみ    行方定めぬ浪枕    今日は今津か長浜か 四 瑠璃の花園珊瑚の宮    古い伝えの竹生島    仏の御手に抱かれて    眠れ乙女子やすらけく 五 矢の根は深く埋もれて    夏草しげき堀の跡    古城に一人たたずめば    比良も伊吹も夢のごと 六 西国十番長命寺    汚れの現世を遠く去りて    黄金の波にいざゆかん    語れ我が友熱き心

  北帰行 窓は夜露に濡れて 都すでに遠のく 北に帰る旅人一人 涙流れてやまず 我を容るるにせまき 国を去らんとすれば せめて名残の花の小枝 尽きぬ希望の色ぞ 富も栄誉も恋も 遠き憧れの日の 淡き望み果てなき心 栄枯我より去りぬ 建大一高旅工 追われて闇を旅行く 酌めど酔わぬ心の苦杯 サタン乾すによしなし 我は黙して行かん 何をまた語るべき さらば祖国我が故郷よ 明日は異郷の旅路

   北上川 匂い優しい白百合の 濡れているようなあの瞳 思い出すのは思い出すのは 北上河原のせせらぎよ 宵の灯ともす頃 香ほのかな初恋の 思い出すのは思い出すのは 北上河原の恋の歌 銀河の流れ仰ぎつつ 星を数えた君と僕 思い出すのは思い出すのは 北上河原の君と僕 雪のちらちら降る夜に 君は楽しい天国へ 思い出すのは思い出すのは 可憐な乙女の白百合よ 僕は生きるぞ生きるんだ 君の面影胸に秘め 思い出すのは思い出すのは 北上河原の愛の歌

人を恋うる歌 一 妻をめとらば才たけて    みめ麗しく情けある    友を選ばば書を読みて    六分の侠気四分の熱 二 恋の命を尋ぬれば    名を愛しむかな男故    友の情けを尋ぬれば    美のあるところ火をも踏む 三 汲めや美酒歌姫に    乙女の知らぬ意気地あり    簿記の筆とる若者に    まことの男の子君を見る 四 花の乙女に恋すとも    色に迷うことなかれ    若き男子の胸に咲く    からくれないの花を愛ず 五 ああ我ダンテの奇才なく    バイロンハイネの熱なくも    石を抱きて野に歌う    芭蕉のさびを喜ばず 六 人や笑わん業平の    小野の山里雪を分け    夢かと泣きてはげみせし    昔を慕うむら心 七 見よ西北にバルカンの    それにも似たる国の様    危うからずや雲裂けて    天火一度降らん時 八 妻子を忘れ家を捨て    美のため恥をしのぶとや    遠く逃れて腕を磨す    ガルバルジィヤ今行かん 九 四度玄海の浪を越え    唐の都に来てみれば    秋の陽哀し王城や    昔に変わる雲の色 十 吾歌声の寒ければ    酒に狂うと人や言う    吾に過ぎたる望みをば    君ならではた誰が知る 十一 語らずやは真心の     君が志いたく露わるる     君が諌めに泣かせても     なほ行くべきか絞首台 十二 同じ憂いの世に住めば     千里の空も一つ家     己がたもとと言う勿れ     やがて別れの涙ぞや 十三 玉を飾れる大宮は     みな北道のなまりあり     こう慷概よくのむ三南の     健児は散じて影もなし

     高楼 妹 遠き別れに絶えかねて    この高楼に登るかな    悲しむなかれ吾が姉よ    旅の衣を整えよ     姉 別れと言えば昔より    この人の世の常なるを    流るる水を眺むれば    夢恥かしき涙かな 妹 慕える人の許に行く    君が上こそ楽しけれ    冬山越えて君行かば    何を頼りの吾が身ぞや 姉 嗚呼花鳥の色につけ    音につけ吾を思えかし    今日は別れていつか又    相見るまでの生命かな 妹 君がさやけき目の色も    君紅の唇も    君が緑の黒髪も    又何時か見んこの別れ 姉 汝れが優しき慰めも    汝れが楽しき歌声も    汝れが心の琴の音も    又何時聞かんこの別れ 妹 君の行くべき山川は    落つる泪に見え分かず    袖の時雨の冬の日に    君に送らん花もがな 姉 袖に被える麗しき    汝が顔ぞ上げよかし    汝が紅の顔に    流るる泪吾れ拭かん

  古い顔 子供の頃に遊んでた 学生時代につきあった いろんな友がいたけれど みんなみんな今はない ああ懐かしい古い顔 夜遅くまで座り込み 笑って飲んだものだった その仲良しの飲み仲間 みんなみんな今はない ああ懐かしい古い顔 恋もしたっけ素晴らしい 美人だったよあの人は いまじゃ逢えない人の妻 みんなみんな今はない ああ懐かしい古い顔 類のないほど親切な 一人の友がいたけれど その友すらも捨ててきた 俺は本当に恩知らず ああ思い出すことばかり 心の知った友達は 兄弟よりも懐かしい 同じ家になぜ君は 生れてきてはくれなんだ ああ懐かしい古い顔 そうすりゃ今でも側にいて 亡くなった友去った友 奪われた友いろいろな 昔の友を語ろうに ああ懐かしい古い顔

  若さはからだに 一 若さはからだに力は腕に    この澄みきった陸奥の空の下    忘れていたふるさとを    あの清純を 二 光は頭上に希望は瞳に    この安らかな学園の風の中    平和へのあこがれ    鳴りひびかせよ    あの讃歌を 三 真理ははるかに誓は心に    この温かい友情の杜の上    永遠のともしびを    抱きつづけよ    あの誇りを   若者よ    若者よ身体を鍛えておけ    美しい心が逞しい身体に    辛くも支えられる          日がいつかはくる    その日のために身体を鍛えておけ    若者よ

遥かな友に 一 静かな夜更けに    いつもいつも    思い出すのはお前のこと    お休み安らかに    たどれ夢路    お休み楽しく今宵もまた 二 明るい星の夜は    遥かな空に    思い出すのはお前のこと    お休み安らかに    たどれ夢路    お休み楽しく今宵もまた 三 さびしい雪の夜は    いろりの端で    思い出すのはお前のこと    お休み安らかに    たどれ夢路    お休み楽しく今宵もまた

 女の園 一 古き都に咲きし花の命は    妓王の夢ならずや常盤ならずや    さらば吹けよ峰吹く風よ    吹きて悲しみの歴史ぞ変えん 二 友よ香ゆかしき乙女ならずや    吾も又真持つ乙女ならずや    さらば恋せよ自由の国に    希望と喜びの花ぞ開かん 三 我等今誰が為に学ぶにあらず    この小さき手の中に 平和の花つむを    さらば行かん青い空の下を    ひとすじにかけて行く 誇りぞ強し

  仙台小唄 杜の都の花乙女 月にさおさす広瀬川 今宵一夜の恋心 仙台仙台なつかしや 夏の祭りは七夕に 星も逢瀬の笹の露 君と歩みし思い出の 仙台仙台なつかしや 青葉城下に秋たけて ネオンきらめく一番丁 三味の音色もなきぬれて 仙台仙台なつかしや 恋も涙も思い出も 雪にうもれる北の国 しだれ桜に春を待つ 仙台仙台なつかしや

  カチューシャ 一 りんごの花ほころび    川面にかすみたち    君なき里にも    春はしのびよりぬ 二 岸辺に立ちて歌う    カチューシャの歌    春風やさしく吹き    夢が湧くみそらよ 三 カチューシャの歌声    はるかに丘を越え    今なお君をたずねて    優しその歌声 四 りんごの花ほころび    川面のかすみたち    君なき里にも    春はしのびよりぬ

    ともしび 一 夜霧の彼方へ別れを告げ    雄々しきますらお出でて行く    窓辺にまたたくともしびに    尽きせぬ乙女の愛の影 二 戦いに結ぶ誓の友    忘れ得ぬ心の町    思い出の姿今も胸に    いとしの乙女よ祖国の灯よ 三 やさしき乙女の清き思い    海山はるかにへだつとも    二つの心に赤く燃ゆる    こがねのともしび永久に消えず 四 変わらぬ誓を胸に秘めて    祖国の灯のため戦わん    若きますらおの赤く燃ゆる   こがねのともしび永久に消えず

   僕は二高の一年生   僕は二高の一年生   白線帽子にぼろマント   汚い手拭ぶらさげて   番丁ガタガタ歩くとき   der des dem den 繰返す   僕は二高の二年生   逆失上りの秀才で   雄大剛健身につけて   番丁ガタガタ歩くとき   メチ公もポリ公も何のその   やがて三年の春過ぎて   サボリサボったオジンちゃん   大学試験を目のまえに   番丁ガタガタ歩くとき   der des dem den 繰返す

   一年生一年生 一 一年生一年生    良くぞ入った東北大    何の教授の誤りか    差し出す答案真っ白ヶのヶ 二 一年生一年生    愛しリーベと泣き別れ    汽車の窓からションボリと    打ち振るハンカチ真っ白ヶのヶ 三 二年生二年生    何の教授と嘗めてはみたが    書いてまた消しまた書いて    差し出す答案真っ黒ヶのヶ 四 二年生二年生    映画音楽麻雀と    ことに質草無くなって    差し出すふんどし真っ黒ヶのヶ

    向う通る女学生   向う通る女学生   三人並んだその中で   一番チャンチュで目につくは   色はホワイト目はパッチリ   口元キリリと紅の   あふるるばかりの愛らしさ   Meine Frauとなるならば   僕もこれから勉強して   ロンドンパリをまたにかけ   フィラデルフィアの大学を   優等で卒業したときは   彼女は他人のものだった       残念だ  残念だ       残念だったらまた探せ

 クズランコ物語 サー イラハイ イラハイ 当浅草電気館ニオチマステ 南氷洋ハクズランコ取リノ一幕 演ズマスルハ生駒雷遊 何卒五分間ノゴ静聴ヲバ オン願イ申スアゲマス 時は明治十一年十一月十一日 我ガ捕鯨船日新丸ハ勇躍横浜の 港ヲバ 出帆スタノデアリマス 太平洋デハ大波ッコ        ダブリンコ  ダブリンコ 小波ッコ タフランコ  タフランコ スルノミデアリマス 船は一路ミンナミヘ ミンナミヘ トススムノデアリマス 赤道直下オシサマノ 光ンコ アチクテ アチクテ 波ッコ タダタフランコ タフランコ スルノミデアリマス 船ハヤガテ 目指ス 南氷洋サ 着イタノデアリマス マストノ上デハマナコケンタロー マナコヲバ皿ッコヨウイニステ ハルカ水平線ノカナタヲバ ナガメテイタノデアリマス ト トチナラヌ声 “センッオ  クズランコ メッケタ” ソノ時 船長沢田正二郎 スンバスモアワテズ 砲スサ 命ズタノデアリマス “砲ス モリッコノ用意” 砲ス  大塩平八郎 モリッコヲバクズランコノ 背中サビタリーット ネライヲ サダメタノデアリマス “ウデー” “ドデズーン” モリコハ ネライタガワズ クズランコノ背中サ “ズボット” ブットサッタ ノデアリマス クズランコハ イデークテ イデークテ ナンヌモカンヌモ サッパリワカンネーケンジョモ タンダ タンダ サスミ ニ サレルノガ オッカネクテ 夢中デ ニゲタノデアリマス クズランコ逃ゲレバ 捕鯨船オッカケル 捕鯨船オッカケレバ クズランコ逃ゲル スンバスノ間ハ 追イツ 追ワレツの大活劇 ranra‐rarara ran‐rara ヘーイ オカエリハ コチラ

  八百屋お七 所は駒込吉祥寺 離れ座敷の奥書院 書見召されし後より 肩をちょいと突き目で知らせ 恨みこもった眼差しで どうか察して下しゃんせ 横町曲れば三軒目 ようやく八百屋の軒の下 もとから先まで毛の生えた とうもろこしを売る八百屋 とうなす南瓜を売る八百屋 いっそ八百屋を焼いたなら いとし恋しの吉さんと おへそ合せも出来ように 一把の俵に火をつけて パッと燃えたが火事の元 誰知るまいと思ったに 天知る地知る人も知る 隣の甚兵衛さんに見つけられ 訴人せられて召とられ 白砂のお庭に引き出され 一段高いはお奉行様 七尺下がってお七どの もみじのような手をついて 申上げますお奉行様 私の生れた誕生日は 丙  丙年  丙午 七月七日の七夕で それにちなんで名もお七 十四と言えば助かるに 十五と言ったばっかりに 助かる命も助からたで 百日百夜は牢の中 百日百夜が明けたなら 裸のお馬に乗せられて 泣く泣く渡る日本橋 品川女郎衆の陰口に 鶴さんも亀さんも寄っておいで あれが八百屋の色娘 目元ぱっちり色白で 髪は烏の濡れ羽色 女の私も惚れように 吉さん惚れるも無理はない 浮世離れた坊主さえ 木魚の割れ目で思い出す 浮世離れた尼でさえ 撞木の頭で思い出す まして凡夫の我々は ××××のも無理はない お話変わってお仕置場 百間四方の竹矢来 中に立てたる人柱 それにお七をゆわえつけ 燃え立つ焔のその中で 吉さん思えば熱くない     繰り返し 吉さん思えば苦しうない     繰り返し 哀れお七は煙となる